17 11月

「軒先瓦四方を支える一本の柱の創造」

私は、先日、ある民家改修の中心人物となってるいる方が、その民家の軒先瓦の角を支える柱となるヒノキ一本を私を可愛がってくれているMさんに伐採を頼んだという報告を受けた。
その理由は、24年間くらい誰も生活しないで放置された民家の屋根瓦全体が一枚一枚の瓦の重みで下にズレ落ち、四方の屋根瓦先の一部に負担がかかっていると判明したからである。民家全体の形だけを離れて観れば、何の問題もない民家として観ることができるであろう。しかし、専門家からすれば、そうではなかった。負担がかかっている軒先瓦を支える一本の柱がなければ、改修後の民家の近い将来に、大きな被害を与えることになる。
そこで、私は次のようなことを感じて学んだ。そんなこと当たり前じゃないかと言われるかも知れないが、やはり、当たり前じゃない現実がある。どんな大切な「個」の取り組みがあるにせよ。どんな大切な「個」の人生設計があるにせよ、一人一人が四方の軒先瓦を支える一本の柱のような重要な役割を果たしているという事実である。それを軽んじないように心がけたい。更には、ヒノキの生木を慌てて準備し設置しても、また、二年か三年くらいでひび割れを起こしてしまう可能性がある。だから、慌てないで、生木のヒノキがひび割れをしない状態になるまでねかせておくことが大切である。時にして、我々自身も、そうありたいと願う日々。